【ネタ】木曜サスペンス劇場「愛と死のペダル」最終回

・「もし古賀が福富の違反行為を知っていたら……?」というネタです。
・福金前提の古賀→金
・ネタ話です。メタ設定も出てきます
・なんでも有りよ。な方のみお進み下さい。
・ノークレーム・ノーリターンでお願いします!!
・とにかく先に謝っておきます。すみません……。


【最終回予告】
広島県開催のインターハイから数年後。あの時の発端が福富の罪だということを偶然知った古賀は、 彼に苦痛を与えるため箱学の元チームメイトをひとりひとり血祭りにあげていく。
が、金城の推理ですべての犯行が発覚し、崖に追い詰められて……。
木曜サスペンス劇場「愛と死のペダル」最終回、お楽しみに!

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木曜サスペンス劇場「愛と死のペダル」
第26話(最終回)「愛と憎しみの輪舞曲」



「まさか、おまえが犯人だったとは……。本当のことを話してくれ、古賀」
切り立った崖の上で、苦い顔をした金城は呻いた。

都内と神奈川の関東2県にまたがり起こった連続殺人事件。
荒北靖友、東堂尽八、新開隼人。被害者の間のつながりはその全員が箱根学園自転車競技部OB、灼熱の神奈川県開催インターハイの経験者。

第一被害者の荒北が研究室の密室で殺された際偶然現場に居合わせた為、事件に巻き込まれた洋南大学・理学部助手の金城真護がその頭脳を駆使した鋭い推理の結果、謎解きに同行していたスポーツ新聞記者の後輩・古賀公高が今回のすべての黒幕だと気づいた時。彼らは伊豆半島の岬の先端の崖に来ていた。

「完全犯罪だと思っていたんですが。あなたには勝てなかったみたいだ」
残念です、金城さん。古賀は悲しそうな瞳で呟いた。
「そんなことより、古賀。福富を離すんだ!」
古賀の手の中には薬でグッタリとさせられ、身体の自由を奪われた福富がいた。その喉元には凶悪な光を見せる銀色のナイフがギラリと突きつけられている。
「あなたの頼みでもそれは無理ですね、金城さん。オレたちの未来を奪ったこいつには、その命をもって償ってもらうしか無い」

――そう、あの夏の広島でのインターハイ。狂気のようにぎらぎらと照りつける太陽が金城と古賀と、そして福富の未来を狂わせた。
禁断のゴッドハンドを発動させた福富の指先から、この残酷な皆殺しの運命は始まったのだ……。

「荒北も新開も東堂も、みんな死んでしまった。全てこの、オレのせいだ……」
ぐったりとしていた福富が意識を取り戻したらしく、苦難を抱いた殉教者のように真っ青な顔で呟いた。
「そんなことはない、福富!あの夏に犯したおまえの罪はもう充分償ったはず」
金城は福富に、そしてナイフをかざす古賀に向けて叫んだ。
「死んだ人間はもう戻らない。だが………非道いことをしたおまえもまた、罪を償えるはずだ、古賀」
それができないなら、せめて……金城は一息置いて、もう一言告げた。
「福富を解放して、オレを身代わりにしろ。そして、おまえの気が済むまでいくらでも刺してくれ」

殉教の覚悟を抱いた金城からの言葉に、福富を拘束した古賀の手が緩む。
「あなたはいつもそうだ。綺麗すぎて……壊せなくて、手が出せない。ずるいですよ、あなたは……」
古賀は眩しそうに目を細めると、福富を前方にぽん、と突き飛ばして自らを崖の方にずらした。
「……!」
福富を解放した古賀は、不安定な岩の上でぐらりと格好を崩した。
「やめろ、古賀っ!」
薬で足元をふらつかせる福富を抱えながら、金城は絶叫した。
「……もう、いいんです。このまま捕まったって、何人も殺したんだからどうせ死刑だ」
古賀が足をもう一歩空中に進めようと動いた、その瞬間。

「――飛び降りるのはやめるんだ、そこのメガネ男子!」
白いカチューシャをきらりと輝かせて、殺されたはずの男・東堂が3人の方に駆け寄ってきた。
「命を粗末にするんじゃねェヨ!」
「閻魔様のバチが当たっちまうぜ?バキューン……ってな」
その後ろには同じように古賀に殺されたはずの荒北と、新開の姿もあった。

「ど……どういうことなんだ。あんたたち、オレが殺して……死んだはずじゃなかったのか……!!」
殺されたはずの登場人物が何故か一同に介している。信じられない姿を見た古賀は目を剥いた。
「話すと字数制限にひっかかりそうなほど長くなるのでここは省略するが、福富と金城、おまえたちの愛の力、ラブパワーで生き返ったのだ☆」
東堂はおどけた表情でそこまで言うと一転真剣な顔になった。
「それに古賀……とか言ったな。きみも金城のことを愛しているからこのような行為に出たんだろう?」
「愛か……そいつはステキだな!」
「だってヨ。ケッ」

「ぐっ……」
色々と常識では信じ難い東堂たちの言葉に古賀の表情が一瞬平坦になり、直後、火がついたように怒りだした。
「な、なんですかソレ!!いくらこれが二次創作だとはいえ、殺された者が生き返るなんて無茶苦茶すぎるオチですよこんなの!!!ここまで読んでくださった方に怒られますよ!!」
古賀はすべての感情をぶつけて怒鳴った。
「あぁ……もうダメだ。いっそ殺してくれ、こんな茶番劇からオレはさっさと退場してやる!」
「わっ、待て古賀!」
すべてを悲観した古賀は崖下に身を投げた。……が、しかし、彼の身体は途中で斜面に生えている木の枝に引っかかってしまった。太い枝がギシギシとたわむ。
「な、なんなんだこの都合の良い場所にある枝は。さっさと落とせ!」
わめく古賀の横に、太い縄に腰を結わえた東堂が上からゲームキャラのようにしゅるしゅると降りてきた。
「最近の腐女子は誰も死なない話が好きだからな。悲劇で終わるJUNEより、ポップで楽しいボーイズラブだ。そんな簡単には死ねないぞ」
さぁ、上に行こうな。東堂は古賀をホールドすると上に合図を送り、ふたりは崖の上に戻された。

「もう、無茶苦茶だ……」
何だったんだオレって。ガクッ。捕まって皆に囲まれながらかわいそうな古賀は地面に手と膝をついてうなだれた。
「だが、古賀。皆が復活したおかげで、おまえの罪も軽くなるかもしれない」
「金城さん……」
「自由のない数年間は辛いだろうが、また会える時を待っているから。しっかり勤めるんだ」
金城は古賀の肩にぽん、とやさしく手を置いた。
「やっぱり、あなたには叶わないですね……」
どうか、福富さんとお幸せに。本当にすみませんでした。黒塗りのパトカーのドアの前で古賀は金城に頭を下げる。泥で汚れた革靴の上に水滴が跳ねた。

【−The END−】





【あとがき】
古賀の広島インハイでの過去を知って思いついたのがこんなネタですみません。
でもこの火サス、もとい木サスな話嫌いじゃないよw

……本当にすみませんでした!!(謝りながら逃亡)


2014/01/20 七篠