「スレンダーな彼女【その4】久しぶりの再会っショ」 - 妄想会議

スレンダーな彼女【その4】久しぶりの再会っショ

パラレルSS「スレンダーな彼女その1 / その2」の続きです。
(「その3」は未公開です)

R-18

【注意】
※巻島さんが女子で、坂道くんとお付き合いしています。
※最初の話「スレンダーな彼女 その1」から2年半くらい後の話です。



「やっと帰ってきた……ニホン、久しぶりーショ。春の香りがするネ♪」
薄い素材の淡いグリーンのワンピースが嵐のような風でめくれそうになり、慌てて裾を抑えた。桜が咲く直前の3月。1年間のヨーロッパ留学を経て、巻島裕子は久しぶりに母国の土を踏んだ。成田空港を使うのも半年ぶりだ。今日は2歳年下の可愛い恋人、小野田坂道が空港まで迎えに来てくれることになっている。逢うたびに大人に近づき成長している坂道に逢うのが楽しみだった。

「巻島さーん。こっちです!」
空港の送迎ゲートで、ぴょこぴょこ跳ねた坂道がこちらにむけて上げた手を振ってきた。LINEやSkypeを使ってよく会話してはいるが、実際逢うのは一度帰国した時だけだったのでこちらも半年ぶりだ。
「大学合格オメデト!良かったネー、坂道。背もまた伸びた?」
「はいっ。3年生になってから6cmくらい伸びたかなぁ……」
最初に出会った時はまだ背が低くて、可愛らしいイメージのほうが強い子どもだった坂道ももう立派な青年といった感じに成長している。……素直な所や、普段は目立たないが決意した時に輝くあの大きな瞳はそのままだけど。

「荷物。自転車はどうしたんですか?」
「かさばるから別便で送ったっショ。多分、ワタシより先に届いているハズネ」
坂道と付き合いだしてから巻島はロードバイクに乗りはじめた。元から才能があったのか、初心者があれよあれよという間に日本の女性カテゴリ学生チャンピオンに上り詰めた。今回の留学は勉強に加えて、世界中のヒルクライム大会に出場する目的でもあった。ハーフで語学堪能、一度決めたら案外度胸のある巻島が各大会を荒らしたのは言うまでもない。長くなるので詳細は省くが。

「きょうは僕、ここまで車で来たんですよ。巻島さんの家まで送っていきますね」
髪の色と同じ派手なメタリックグリーンの巻島の大きなトランクを彼女の横でゴロゴロ転がしながら、坂道は嬉しそうに言った。
「ここまでクルマで来たの?アレっ、坂道って免許持ってたっけ」
「僕、この前免許取ったんです。受験終わってから暇があったので、今のうちに。大学入ったらまた授業と自転車で忙しくなっちゃうから。……といっても、自分の車は持ってないので母さんのを借りてきたんですけど」
坂道が案内した駐車場の先には、いかにも女性が好みそうなピンク系メタルグレーの軽自動車が停まっていた。



「……あの、坂道が免許取ったのって何時の話、なのカナ?」
ガックン。坂道の運転する車はまた急ブレーキで止まった。座席が衝撃でドスンと軽く揺れる。3本前の信号では停止線をはみ出していたし、さっきは黄色の信号で止まらなかった。車線変更もなんかおぼつかない……ような……。助手席の巻島は気が気でなかった。飛行機のフライトよりもスリリングだワ。
「えーと、3日前です。自転車とはいろいろ具合が違うのでもっと練習しなきゃ、って思うんですけど」
そ、それで他人乗せるのはちょっとマズいっショ……巻島の顔がさぁっと青くなった。
「わ、ワタシ、久々に日本で運転したいナー!アウトバーンにも飽きたっショ。ハンドルも逆だから練習しなきゃダメよネ。ねぇ坂道、ワタシと運転代わってくれる?」
「えっ、でも巻島さんはずっと飛行機に乗ってて疲れてるだろうから無理しなくていいんですよ」
「無 理 し て な い っ シ ョ。さァ、いますぐそこの空いてる路肩に止めるっショ」
巻島の長い髪がゴーゴンのように逆立っている。彼女は美人なので怒ると余計威圧感があって怖い。坂道に反論する隙間を与えず、こわばった顔の巻島はムリヤリハンドルをもぎ取って家までの帰路を自分で運転した。



「久しぶりなんだし、せっかくだからウチに寄っていって」
自宅の車庫に一旦止めた車からトランクと鞄を下ろした巻島は坂道を家に誘った。
「えっ、でも、いきなりお邪魔しちゃっていいんですか?」
「ちょうどいまの時間は家に誰も居ないから遠慮しないデ。それにワタシ、坂道にゼヒ見せたいものがあるんショ」
悪戯っぽくウフフ。と巻島は両目を細めて笑った。長い睫毛がまばたきに揺れる。

「見せたいものって、何だろう……?」
立派な応接室のふかふかした高級ソファで待たされた坂道は頭の中を?マークで埋めながら、出された美味しい紅茶をずずずと飲んでいた。見せたいもの……。ヨーロッパのヒルクライム大会女子の部で巻島さんが優勝した時の表彰状?それとも、僕がおみやげに買ってきて下さいって頼んだフランス語版の『ラブ★ヒメ』単行本?予想が付かなすぎてさっぱり見当がつかない。

その時。突然扉が開いて、新しい衣装に着替えた巻島を見た坂道は「えっ」とひとこと口に出したまま目をまん丸くした。

「……ど、どぉっショ?」
隣の部屋からもじもじと現れた巻島はオフショルダーの水着によく似たデザインの、黒色のスーツに身を包んでいた。水着と違うのは、張りのあるエナメル光沢の素材で出来ていることと、細く整った綺麗な足がバックシームの網タイツとハイヒールを履いていることだ。……加えて、頭の上に大きな菱形の白い耳がふたつ付いている。首にはシャツの襟元だけのものに蝶ネクタイ。手首にはカフス。可愛いおしりにはふわふわの毛玉が付いていた。

「ば、バニーさん……!!!」
【答え:坂道の目の前に現れたのはバニーガールのコスプレをした巻島さんでした】
プレイボーイ誌のカバーガールもかくや、という突然見せられたセクシーなバニー姿にビックリした坂道は目を白黒させて挙動不審になった。
「ま、巻島さんっ。なっ、なんですかその格好っ……」
「えーと。あのネ……話すとチョット長くなるんだケド……」
――ワタシの留学先のルームメイトの子がオタク(えっと、女の子のオタクって『フジョシ』って言うんだっけ?)のアメリカ人だった、って話は前にLINEでもしたよネ。それで「私のカレシもアニメ好きなの」って話をしたら『アニオタの男の子はメイドとか、バニーとかのコスプレが大好きなんだよv』って言ってたっショ……。それで、餞別にこの服をプレゼントしてくれたの。『これ着て、カレシとずっと仲良くしてね!』って。
……と、艶っぽい黒のバニースーツを入手した経緯を巻島は坂道に打ち明けた。

「どう?似合ってる?こんな格好するのはワタシちょっと恥ずかしいケド、坂道が喜んでくれるならイイカナーって……」
長身の美しいバニーガールは瞼を伏せて色っぽく頬をピンクに染めた。照れ隠しに長い髪を指でくるくる巻いている。その動作がますます愛らしい。テカテカ光沢を放つグロスの乗ったバラ色の唇も食べちゃいたくなるほど魅力的だ。
しかし、驚いた表情のままずっと石のように固まっている坂道を見て
「あれ、ワタシ、もしかしてなんか間違ってる?????」
と慌てだした。

「かっ、可愛すぎて……た、立てませんっ!」
突然目の前に現れたセクシーな恋人の姿に驚いたことに加え、健康な男子高校生の身体的反応という両方の理由で、真っ赤になった坂道はソファから動けずモジモジしている。バニーの格好のまま巻島はストンと坂道のすぐ隣に座り、
「えへ、アリガト」
自分の格好を褒められて嬉しくなり チュッ と軽いキスを坂道の頬に贈った。隣に寄られると、白い肌の上を覆う隙間の多いメッシュの網タイツの凹凸を生々しく感じて、坂道はごくりと喉を鳴らした。

バニーさん。バニーさん……。バニーさん、かぁ……。坂道の頭の中でひとつの単語がエコーする。メイドならともかく、性的なニュアンスを持つバニーガール姿は普通の高校生には刺激が強すぎですよ。でも。アメリカ人の腐女子さん、グッショブです!グッショブでーす!ありがとうございます!大切なことなので2回言いました!海外の見ず知らずのオタク同志に坂道はモーレツな感謝のテレパシーを送った。

――身体の線がハッキリクッキリ見えるバニースーツは他のコスプレ衣装に比べて露出度が高いせいか、やたらと生々しいムードを醸し出す。スレンダーな巻島の身体は普段はさほど肉感的ではないが、スタイル抜群の彼女はこの格好で色っぽさに激しくプラス補正をかけていた。そんな姿でじっと見つめられたらもう何も我慢できなくなってしまう。坂道は年上の可愛い恋人の方に手を伸ばした。

「留学生活は楽しかったけど、でも、ずっと寂しかったっショ。……だって向こうは坂道が居ないから」
「ボクも、寂しかったです」
二人はお互いをぎゅっとハグした。かけがえの無い存在を他の人間で補うつもりはないが、それでも片割れの長い不在は寂しい。距離が近づき、自然とふたつの唇が重なる。歯列を割って舌を深く絡めあう、魂ごと吸われるような遣り取りで身体の芯から情熱の炎が次第に灯っていった。
「坂道のクチビルって、坂道のにおいがする……ふふ」
「えっ、ボク、何か臭いますか?」
坂道は反射的に自分の着ているシャツの袖口をくんくん嗅いで確認した。でも自分では自分のにおいというのはよく分からない。
「もー、違うっショ。そうじゃなくって……」
巻島は可愛い恋人の肩に凭れかかり身体を優しく擦りつけた。
「サカミチって温かくて懐かしい感じがするんショ。こうして一緒にいると、やっと日本に帰ってきたナ、って思ったの。ねぇ、ワタシもっと触ってほしい、っショ……」
「……あのっ。触ってもいいですか」
同時に感じていたことを口に出してしまい、ふふ。と微笑む。愛する二人はお互いを許しあった。
「……でもここじゃダメだから、ワタシの部屋に行ってからネ?」



二人でベッドの上に座って、バニースーツの固い胸パッドを外すと巻島の柔らかい胸がぽろりと露出した。
(久しぶりに触ったけど、やっぱりすごく柔らかーい……。ふあぁ。これがボクだけのものだなんて、シアワセ過ぎるよー!)
重力に逆らうように張りのある大きなふたつの脂肪を、坂道は交互に持ち上げるように大ぶりに揉みながら、先端の桃色の突起をかるく指で悪戯する。さらに唇だけでつまんで、舌を使ってちろちろと舐め吸った。
「あぁン、気持ちいいっショ……」
巻島は目を閉じて胸をふるふると揺らした。長いまつげがまた色っぽい。
「なんか触るの上手くなってる気がするっショ。どうしてなの?サカミチ……」
熱でトロリと潤んだ瞳で巻島は問いかける。
「毎晩、あなたのこと想像して、してたから……かなぁ」
わっ、言っちゃった!ご、ごめんなさい。勝手に、その……『使って』しまって。真っ赤になった坂道は深夜の愉しい妄想について謝った。
「坂道はホント素直だネ……。別にそのくらいは大丈夫ショ。そうしたらワタシも謝らなきゃダメ。だし」
「えっ、何をですか?」
巻島が謝る件への想像が付かず、坂道は無粋に聞き返した。頬を赤らめた巻島は坂道から視線を外す。
「???」
「……サカミチは、女の子にそれを言わせる気なんショ?」
答えを誤魔化すように巻島はバニースーツの背中のジッパーを自分でゆっくり下ろしはじめた。

一糸まとわぬ巻島の、磁器のような白い肌のあちこちに夜空に輝く星のように点在する黒子を辿りながら、自分も裸になった坂道は胸から腿の付け根まで忠実な使用人のように丁寧に接吻の嵐を重ねていく。最近はアニメ雑誌だけじゃなくて3次元のグラビア写真集なんかもたまに観るようになったけど、どんな売れっ子アイドルだってこの人の可愛らしさには叶わないよ、と強く感じる。
淡い繁みの中にある、隠された秘密を坂道が暴こうとした直前にふたりの手が触れ合った。
「その前に、ワタシからもさせて……」
……こっちのサカミチも久しぶりネ。充血してすっかり成長している坂道の分身にむけて巻島は冗談ぽく挨拶をすると、悪戯っぽい眼差しで、よく育った欲望に細い指をあてがい、ぎゅ、ぎゅっと強く上下に扱く。ラインストーンが数個乗った紅色のネイルが官能をそそった。
「このコ、また大きくなった?」
指で恋人の先端をツンツンといじりながら巻島はいたずらっぽく尋ねた。先走りの透明な露が指先との間にネチャ、と延びる。
「そ、そんなの。そこ触られたら誰でも大きくなっちゃいますってば……」
久々の愛のご奉仕を受け、気持ちよさに目を細めながら坂道は答えた。
「そうじゃなくて、サイズ的な意味、ショ。ふふ」
じゃァ、これからお姉さんがもっとヨクしてあげますからネー。と巻島は言って、膨れた先端の部分を飴を溶かすようひととおり舌で舐め上げると、温かく濡れた口の粘膜で恋人の愛しい分身を優しく包んだ。
「っ……」
(あー、ヘブン状態……。気持ち良すぎるよぉ……)
幹の部分を横倒しにして外側から楽器を奏でるようじっくり愛撫した後、じゅぷ、じゅぷっと淫靡な音を立てながら、艶のある唇でぬるぬると頬張る分身に情熱的な奉仕をする巻島の長い髪を坂道はやさしく撫でた。
「はぁ……あぁ……。巻島さんのおクチ、巧すぎて、ボク、もぉ……たまらないです……」
(たしか坂道はこの辺がスキなんだよネ)
先端の切れ込みをちろちろと舐め、裏の筋を何度も舌で往復してなぞる。その上柔らかなふたつの果実までゆるゆる愛撫されて気持ちよさそうに目を閉じている坂道の可愛く乱れる顔を巻島はいつもたまらなく思い、身体の奥の炎が燃えあがるのを感じる。
「……あっ、いい……すごくいいッ、です……。うわっ、ダメ……出ちゃう」
ゆっくり喉の奥まで咥えて愛撫している時に坂道から突然欲望を吐露され、ん、ごくん、と勢いで全部飲んでしまった。濃いその味に、巻島の喉がねばつく。
「んッ……げふ」
巻島は軽く咳をした。
「あっ、あっ、ごめんなさい……」
「……ふふ。大丈夫ショ。坂道、すぐイっちゃったネ?」
自分の与えたご奉仕とその結果に満足したのか、白濁にまみれた口元を長い指で軽く拭って巻島は頬を染めた。無意識的にぺろりと舌なめずりをする仕草が激しく艶っぽい。
「こんな気持ち良い事してもらうの、久しぶりだから仕方ないですよぉ……」
乙女のように恥じらった坂道は、怒られた仔犬のようにショボンと眉を寄せてうつむいた。
(……坂道のこんな所もゼンブたまらないっショ)
巻島は更にふふふ。と微笑んだ。

と、ここまで来て、とつぜん坂道は巻島の大きな胸を押してぐいっと身体を離した。
「あのっ。いまさら気づいたんですけど、今日は、こ、これ以上できませんっ」
「……どうして?ワタシはダイジョウブよ」
なぜか横を向いて辛そうにしている坂道の表情を見て、意外な展開に巻島はきょとんと首を傾けた。
「ゴム持って来てなくって……。ほんと、ごめんなさい!」
今日は送るだけの予定だったので、こんな事まではするつもりなかったんです。と真面目な坂道はとても申し訳なさそうに謝った。
「……ふふ。それは今は大丈夫なんショ」
口角を上げて巻島はふふ。と微笑を浮かべた。
「実はネ、留学してからカラダの調整のためにピル飲み始めたの。だから、今日からはアレ、付けなくてもイイんショ……」
ゆっくりと、坂道の耳元で低い声で巻島は囁いた。予想外の言葉を受けて、いったん鎮められた坂道の情に再び欲の欠片が灯る。
「えっ、ほんとうですか」
「うん。ウソじゃないヨ。ワタシいつか坂道との可愛いベイビーが欲しいケド、今はまだお互い学生だものネ……」
だから、いくらでも好きにしていいのヨ……大事にシてネ、サカミチ。頬を染めながら巻島は恋人の手をそっと掴んで、自分の豊かな胸元に優しく導いた。

恥じらいながら長い脚を開いた恋人のあられもない姿を前にして、坂道は柔らかい叢の下に隠された花のように複雑な形をした秘密の入口を目で確かめた。欲で色づき濡れた花弁を、傷つけないように両手の指でゆっくり開く。
(久しぶりだけど、いつ見てもすごいエッチな感じする……ここ、って)
艶やかに成熟した大人の女性の複雑な造形に坂道はごくりと息を呑んだ。
「あまり、じっくり見ないデ。恥ずかしいっショ……あッ……っんぅ……」
感じやすい芽の部分に優しく触れながら、人差し指を花弁の中にそっと差し入れるとくちゅ、と濡れた音がする。そこは既に溢れそうな蜜でたっぷり満たされていた。ここにどう触れれば快楽を与えられるのかは、初めての時から幾度も肌を重ねた触れ合いを通して知っている。愛を交わすのは久しぶりのはずなのに自然に動く身体がすべて覚えていた。坂道は甘い香りに誘われる小鳥のように秘密の場所を激しく舐めついばみながら、指の数を2本に増やして円を描くように濡れそぼる洞の内側のざらざらとした天井を撫でた。
「あっ、あン……アァァ……」
激しい愉悦に蕩けた巻島の身体が震え、口元を手で覆っても嬌声が出るのを止められない。
「すごいイイっ、ショ……。吸われるの、好き……スキ……」
他では味わえない快楽に彼女の長いまつげがぶるぶる震えた。

「サカミチが、欲しいの……」
「ボクもしたい……。いいですか?」
何度も激しい接吻を交わして、坂道は正面で向かい合う愛しい歳上の恋人を、はちきれそうに膨らんだ自身でゆっくり貫いた。少しの抵抗をかき分け、優しく中に侵入していく。
「あ、ぁ……うぁ、あ……。どう、ですか?」
「あ、あっ、んー、良い……イイ……ショ……。あぁン……サカミチの、コレ、好きぃ……」
久しぶりに恋人の熱い楔を受け入れる歓びに巻島の身体がぶるぶると震える。彼女は交わる最初の、膨らんだ先端で裂け目を侵入される瞬間が堪らなく好きだった。
「まきしまさん、あっ、あの、すっごく、きもちいい、あったかくて、気持ちいいです……あっ、あッ……」
夜の妄想を使った独りでの慰めもそれはそれで楽しいが、彼女の温かな肉体の存在とは比べられない、別次元のものだと坂道は思う。特に今回は二人を妨げる膜の壁がないので同じ体温で深く交じり合う気持ちがいちだんと格別だった。気をつけないと直ぐにでも達してしまいそうだ。
「んっ、ボクの、全部入っちゃった……。どうですか?」
熱い欲望を全部挿入しきった所で坂道は一旦動きを止め、ぐぐ、と身体ごと彼女に体重を押し付けた。
「あぁ……いっぱい、いっぱい入ってるショ。サカミチの……で、ワタシ、イッパイ埋まってるのぉ……ふあぁ……」
ぴったり肌を合わせるとまた唇を狂おしく重ねて、坂道は徐々に抽送を始めた。繋がった部分が濡れそぼつ二人の混ざる体液でとろりと白い糸を引き、腰をぶつける音が高く響く。
「えへ、まきしまさんの……、熱くてぬるぬるしてます。ぐちゅぐちゅっ……って濡れた音がして、いつもよりすっごくエッチな感じ。ボクの……に、いっぱい絡みついてきて、すごく、すごく、気持ちいいです……あ、うわっ」
「恥ずかしいっショ、言わないデ……。あっ、あぁ……んぅッ、はぁぁ……」
いたって天然な坂道は、閨の駆け引きをするつもりはなくても如何せん正直な言葉がそれが却って仇となった。彼女を責める声を聞いて巻島の頬が羞恥で紅く染まるたび、ぎゅっ、ぎゅっと内側が締まる。ロードに乗ることで腹筋と関連した他の筋も発達していて彼女の中の具合はとてもいい。
「あぁ、サカミチのぉ、さっきより、おっきく、なってきたァ……中で擦れてるの、スゴく……。あ、そこ、ソコ、だ、ダメぇ……感じスギちゃって……」
「あ、あっ……また、ぎゅーっと、狭くなってきてるよぉ……。締まってて、ボクの……いっぱいシゴかれちゃう……。まきしまさんの、なか、いつも以上にきもち良すぎて……う、ゎ、直ぐ、イッちゃいそう」
乱れる無数の襞がたぎる欲望をますます刺激するが、坂道は必死の思いで我慢した。動きを止めてしまおう、と一瞬頭をよぎるが、すぐにでも頂点へ辿り着きたい肉の欲に小狡い考えはあっという間にかき消される。
「まだイッちゃダメ、ショ……?今日はいっぱい、貫いて欲しいの……」
ワタシだって、一年間いままでずっと我慢してたっショ……。だから、もっと気持ちよくシテね?サカミチ……。欲望に忠実に、巻島は坂道の腰を長い脚でぎゅっと捕えながら自分も腰を使いはじめた。

「あっ、あッ、良い……イイショ……いっぱい、奥まで、あたってるのォ……あっ、あぅ、アァン……あぁ……」
最も感じる奥まで深く突かれる度、揺さぶられた巻島の口から啜り泣くような艶っぽい嬌声が漏れ、形の良い胸がたぷたぷと揺れる。それまで遠く離れていた距離と時間を取り戻すようにふたりはお互いの身体を激しく貪りあった。
「あっ、あぁ……すごく、いいショ……。いい、イクッ、もう、イっちゃう……。あっ、んぁぁ……イクぅ……イ、くぅッ……」
「あー、ごめんなさい、もう、ボクも、ダメっ……イッちゃ、あ、アッ、うぅ……」
「サカミチ……、ワタシの、ナカで、いっぱい、イッパイ出して……いっぱい感じて……あぁぁぁ……」
気持ちよさに観念して荒い息を付き、背筋を弓なりにぶるっと震わせて頂点に達した坂道は、滾る濁流を巻島の中に勢いよく解き放った。果てた後もしばらくそのまま抱き合った後でずるりと引き抜く。熱く溶けて繋がっていたところから、愛液が混じった泡立つ白濁がどろりと溢れだして巻島の薄い肌に筋を描いた。
「熱い……。ふふ、たくさん出たネ、サカミチの。嬉しい、ショ……」
満足した悪魔のように魅力的な、気怠い微笑みを巻島は浮かべた。快楽の涙で濡れた長いまつげが艶やかな色気をそそる。ふたりは身体の奥が離れた後も続いて抱きあった。
「久々だったけど、すごく良かったです。途中でもうこのまま死んじゃうかと思っちゃったくらい。好きです……まきしまさん」
坂道は愛しい恋人の髪を優しく撫でた。
「ワタシも……ダイスキっショ。サカミチ……」
どちらともなくふたりはもう一度熱く長い接吻を交わした。
「もう一度、イイ?」



「坂道ー、そろそろ起きるっショ」
「あれ、僕、寝て……た? ハッ」
「もうそろそろママンが帰ってきちゃうからネ……」
すっかり夢の中に落ちていた坂道は耳元にかけられた優しい言葉で起こされた。窓の外を見るとオレンジ色の黄昏が広がっている。久しぶりの行為は楽しかったがどっと疲れてしまった。巻島はリボンの付いた上品な白いブラウスと紺のシンプルなスカートにとっくに着替えて、澄ました顔でベッドに腰掛けている。
「うわー、ごめんなさい」
「良かったら、ママンに挨拶してから帰る?」
ワタシのママンも坂道のことスキだからきっと喜ぶと思うっショ。巻島は悪戯っぽく笑う。
「それは……また今度にしておこうかなぁ」
情を交わした直後でバツが悪いのかさすがの坂道も苦笑いで返した。知らない間にシーツの上にきれいに畳まれていた自分の服を拾って着なおす。

「坂道の行く大学もワタシのキャンパスの近くで良かった。また、前みたいにワタシのマンションにも遊びに来るショ。ていうか来てネ。ゼッタイよ」
家の車庫まで坂道を見送りに来た巻島は名残惜しそうに強く要求した。

「……あのっ、お願いがあるんですけど」
今日ずっと言おうとしてたんですがタイミングが掴めなくて、僕。運転席に乗り込む前に坂道は巻島の両手をぎゅっと握った。
「んー、なぁに、坂道?」
大学に受かったら絶対お願いするんだー。って思って、僕ずっと勉強してたんです。坂道は思い切って言った。
「巻島さんのこと、苗字じゃなくて、これからは「裕子さん」って呼ばせてくださいっ!」
「えっ……」
――そういえばワタシ、いままでずっと苗字で呼ばれてたっショ。今更ながら巻島はハッと気づく。変な所で疎いのだ。
「……そんなの、ダメっていう理由ゼンゼン無いっショ?嬉しい……ショ」
巻島は可愛く頬を赤らめる。
「ありがと、まき……じゃない、裕子さん」
「サカミチー、もっと訓練しなきゃダメネ。もう一度呼びなおすっショ」
家庭教師っぽく巻島は人差し指を立てる。
「ゆうこさん」
「once moreっショ」
「ゆうこさん!」
「まだ足りなーいっショ」
「ゆうこさんっ!!」
「オーケー。ふつつか者ですが、これからもワタシのことをよろしくお願いします、サカミチ。」

裕子はぺこっと頭を下げた、坂道と裕子は顔を見合わせてくすくす笑い、ふたりは夕陽の中でもう一度抱きしめあった。
「これからも僕と一緒にいてほしいです」
「……勿論ヨ」
もうすぐ、それぞれまた新たな生活が始まる。大変なこともあるかもしれないケド……でもお互い好きで一緒にいればきっと、大丈夫だよね。とラブラブなふたりは心の内で思った。


【おしまい】
2014/06 七篠






<あとがき>
明るいエロ漫画っぽい話が書きたくて出来ました。

実はこれは2年ほど前に書いてずっと塩漬けにしていたものなのです……。
「坂道とにょた巻島さんの初体験話(スレンダーな彼女 その3)」を書いた後にこれを公開するつもりだったのですが
そちらが思うように進まず;かといってこのまま放置しておくのも
勿体無いなと今回の公開に至りました。

初体験話もいつか公開できればいいんですけど……
感想などいただけると有難いです。