【アマイセイカツ】

<注意>
坂道くん女体化(にょた道)話でメイドさんです。……かわいいからついやってしまった。
R-18 えろちかです。

七篠&香葉しい



「あの、邪魔ですっ!」
 料理をしたいのに、背後からべったりと強く抱きしめられているせいで坂道はうまく包丁が使えない。危なげな手つきで怒鳴ってみるものの、この家のおぼっちゃんは話を聞く気がないようだ。
「せっかく2人きりなんだぜ、今日は夕飯なんかどうでもいいっショ、坂道」
 巻島は腕の中のちびっこメガネっ娘メイドを可愛がろうとしたが
「……裕介さま、刺しちゃいますよ?」
 くるりと回ってにっこり微笑む、可愛い坂道の顔に似合わない凶悪な言葉にさすがに巻島も手の力を緩めた。



 小野田坂道が巻島家の住み込み家政婦、今風に言えばメイドさん。として暮らしてもう数ヶ月経つ。「坂道」という変わった名前の子が実は女の子だったことにも巻島は驚いたが、(「だってお前男子の制服着てたっショ!」「寒くて冷えるからスカート履かない主義なんです、ボク」「……。(マジかよ…)」)
 彼女の善良な両親がその友人の代わりに背負った借金返済の為に突然失踪していまい、ひとり路頭に迷いかけた坂道が登録した家政婦紹介所の仕事先が富豪の巻島家だったという偶然が重なって坂道はいまここに居るのだった。
 大きな白い襟のついた、飾り気のない膝下丈の黒いワンピースにフリルが縫い付けられた白エプロンという、割とシンプルなメイド服が丸メガネ着用の彼女の雰囲気に似合ってるっショ。……と巻島は毎日見ていて思う。
(家の中は暖かいからいいだろ?と言いくるめて坂道にこのメイド服を着させたのは我ながら名案だったっショ……)
 公表すればいろいろ支障があると考えた結果、二人がひとつ屋根の下に住んでいることはクラスメイトやチームメイトには内緒である。

 今日は土曜で高校もお休み、裕介さま以外の家族と他のメイドが本日不在ということで今日は坂道が2人分の夕食を作っていた。毎度取り寄せている豪華な食材で食べ物には不自由しないが、なにしろ素材だけなので調理をしないと何も食べられない。キッチンの椅子の背もたれ側を表にして行儀悪く座った巻島はふくれっ面をしてブーブー文句を言っている。
「出前でも頼めばいいっショ……ピザとかさァ」
「ボクはメイドで雇われているんですから、働かなくちゃ。出前なんてダメです。ピザだったらちょっと時間かかりますけど作れますよ?」
 市販品ほど美味しくないかもしれないけど。坂道がピザの生地用小麦粉を戸棚から取り出そうとする所を今度は横からさらうようにして坂道は正面から抱きしめられた。
「一緒に住んでてもさァ、坂道とイチャイチャできることなんてあまり無いっショ」
 せっかく今日は二人きりになれるぜーって、すごく楽しみにしてたっショ、と坂道の短めの黒い髪のつむじ辺りをさわさわ触りながら、巻島はわざと坂道の耳元でささやいた。
「坂道が食べたいっショ」
「……。」
 職業人としての倫理なのか、同じ家で暮らしていても坂道はいつも仕事と私生活の境目をハッキリ区切ろうとしている。(いつだったかのようにビンタされるかも?)と巻島は一瞬ドッキリしたが、坂道は耳まで顔を赤く染めて俯いている。
「……裕介さまはいつも恥ずかしいです。ボクも」
 駄目になっちゃうじゃないですか……。そうつぶやいて坂道は巻島の肩にそっと顔を埋めた。

 ――でもここ(キッチン)じゃダメです。絶対ダメ!と坂道がつよく言い張るので巻島は坂道をお姫様抱っこでひょいと難なく持ち上げた。こんな細いのに裕介さまって力持ちだなぁ。ヒルクライムで鍛えた腕力?と、同じ細身ではあるがあまり力のない坂道は考える。
 裕介さまの身体……。坂道はされるがままに運ばれていたが、よく考えたら身体が云々どころの問題じゃない。今日はこれから、想像するより恥ずかしいことをするんだ……それを考えたら、足の指の先まで赤くなりそうだった。

*****

 唾液が甘く重なる音が部屋を満たす。歯列を割って入りこむ舌を強く弱く吸うと、坂道は頭の芯が徐々に麻痺していくのを感じた。
 自室の奥のほうにある裕介さまのこの寝室は、元は楽器演奏用に設計された部屋で防音なのだという。外からの音が入らないため寝る時にも静かなので部屋の主はこの寝室を気に入っていたが、逆に内部の音が響くように感じて坂道はすこし苦手だった。
 しかし二人にとって誰にも邪魔されない場所は少ないので大抵の行為は専らここで行われていた。
 裕介さまはいつだって、初めての時だって優しかったけれど、恥ずかしさやためらいがあって坂道は未だ慣れない。

 キスに夢中になっていて気が付いたらいつの間にかメイド服を脱がされ、下着だけを身にまとった姿にされている。
「可愛いっショ」
 首筋にいくつも口付けされ、下着の上から胸をゆっくり愛撫される。ベッドの下に隠してある(掃除の時にこっそり見ちゃったのだ)裕介さまが大好きなグラビアの華麗な美女たちの水着姿や下着姿と比べると、まだ子どもに近い自分の身体つきが恥ずかしい。でも何度も行為を重ねたせいなのか、最近カップのサイズが増した。
――もっとも、胸が苦しい理由はそれだけじゃないだろうけど。
「……あの、外していいですか?」
「オレが外すショ」
 この一言だけで気づいた巻島は坂道の半身を起こして背中部分の金具に触れ、そっとホックを外した。
(……裕介さまは、ボクが「初めて」じゃないんですよね……)慣れた手付きがそれを知らしめ、最中なのに坂道の気分を沈ませた。
 背が高くて派手で目立つ巻島先輩は坂道の憧れだった。孔雀のように派手な外見の割に本人の性格は特に目立つ事を好まないので金城のように万人からモテる訳ではないが、一部の生徒の間に熱心なファンが付いていることや、時おり靴箱にラブレターが入っていることも坂道は知っている。いまは同居していることで他人よりアドバンテージはあるけれど常に2人きりという訳ではないし、主人の一族と雇用されている者という身分の違いもある。……それでもこうしている時間を持てることは泣きたくなるほど幸せだった。

 普段は人に見せることのない、ふくらみの先端の蕾を細い指で弄じられる。
「ひゃっ……」
「気持ちいいんだ?」
 先端を口に含まれるとますます感じてしまう。右の次は左、と胸を手と唇で愛撫され、胸の蕾をかわるがわる吸われる。ぎゅっと目を閉じていた坂道がそっと薄目を開けると胸の上で玉虫色の緑髪が揺れているのがわかった。
(なんか、赤ちゃんみたい……)
 坂道は恋人の必死さを微笑ましく思い、片手でその頭を撫でた。

 臍の下にある薄い叢の中をさわさわと手で探られる。
「あ、そこ……ダメです……っ」
 表にある、敏感な芽の場所を丹念にいじられた後、坂道の秘密の内部に一本の長い指がぬるっと侵入してきた。
「坂道ん中、熱くて、ぬるぬるしてるっショ」
 狭い箇所の様子を探るように、巻島は指を前後にゆっくり動かす。動作に合わせて独特の湿った音がする。自分の目じりに涙が浮かぶのは恥じらいなのか気持ちいいせいなのか。坂道には区別がつかない。
「ひ、あ、あぁ……」
 奥のほうにある、物凄く感じてしまう場所を何度も辿られるので坂道は声を止めることができない。細身だが逞しい恋人の身体に坂道は必死にしがみつく。いつのまにか2本に増やされた指が秘密の通路の内部をゆっくりと暴いていった。

 気づいたら脚を大きく割り開かれ、秘密の場所の襞を直接唇と舌で愛撫されていた。
「えっ、ちょ…、そんなとこ、もっとダメです……っ!!」
 制止の言葉を聞いても巻島の動きは止まらない。あられもない場所を吸われる驚きと、自分の秘密が漏らす水音が大きくて恥ずかしさで坂道は耳を塞ぎたくなるがいまは抗えない快感に流される引力のほうが大きく、止める素振りはしても気持ちは止められなかった。

「……もうそろそろいいショ」
巻島が肝心の行為に進む準備をしようとしたその時、
「ボクにも、させて……下さい。」
 意外な言葉に坂道は発した自分でも驚きつつ、恋人をシーツの上にゆっくり押し倒した。欲望でゆるく潤んだ大きな瞳で見つめる眼差しは純粋さだけではない淫靡な印象を与え、思わず巻島は唾を呑んだ。

(おっきい……)
 恋人の事を知っていてもその分身を近くで見ることはあまり無いのでいざ直面して坂道は躊躇した。背丈が高いだけあって彼のものはそれなりだ。
(これ、ボクの中に……入っちゃうんだよね……)
 熱い楔をうがたれる快楽は既知のもので、過去の行為を思い出して坂道は震えた。しかしまずは目の前にあるものに奉仕したかった。
「……あんまり無理しなくて、いいぜ?」
「頑張り……まふ」
 愛おしい恋人の分身を右手指でそおっと握り、上下に動かしながら唇で先端を舐め、潮の味がする先走りを味わう。いかんせん自分には備わっていない器官なので勝手は分からないが、そこは想像と多少の知識で補うしかない。まずは唇で優しく、次は舌を動かし、遂には口内で強く弱く愛撫していると、恋人の分身が時々びくびくと動いたり様子が変わっていく事が愛おしく感じられた。行為に必死になっている最中、坂道が一度だけ目線を上にやると、切れ長の目を閉じ眉をひそめ必死に堪えている巻島の様子が伺えて、恥ずかしいのは自分だけじゃないんだという安心感と、快楽を奉仕している満足感を得て坂道は再び愛の作業に没頭していった。

「あ、……ッ。ぐッ」
 ふたりで愛の行為に夢中になった結果、喉奥まで入れて吸わせていた時に予想外の暴発をさせてしまった。巻島は急いで口内からそれを解放したが、いくらか飲みこんでしまったらしく坂道はげふげふ咳き込んでいる。
「だ、大丈夫ショ?水持ってくる?」
 真っ赤な顔をして、肩で息をしている苦しそうな恋人を巻島は気遣った。
「ら、らいじょうぶですぅ……」
 えへへ……飲んじゃいました。なんか、変わった味ですね、これ……。目元にうっすらと涙を溜め、右の口端から白い筋を流した坂道は無意識に口端を指で拭い、残りの雫を舐め取った。まだ幼い年齢に似合わない艶やかなその行為が、彼女の印象をひどく色っぽく感じさせる。
「悪ィな……。」
 巻島は可愛い恋人の頭を優しく撫でた。気にしないで下さい、坂道は答える。ボクは貴方のメイドですから。と。

 愛し合う為の道具を付けた巻島は、恋人の秘密の奥にゆっくり身を沈めていった。
「あ……う……あぁ……」
 その熱さと、逞しさに坂道はいつも目眩を覚える。初めての時は泣いたけど、今は痛みはなく快楽だけがあった。若者の侵入は早急になりそうなものだが、巻島はひどく焦ることは無かった。痩せ我慢かもしれないが、少しずつ開発していく楽しみのほうが後で大きな収穫の喜びをもたらすことを知っている。
「……触って、」
 愛しい恋人の右手指をそっと掴んで導き、二人が甘く接合している部分を坂道に認識させた。すっかり濡れそぼっていることが判る。
「オレのが全部入ってるの、分かるっショ?」
「は、はい……ふぁぁ」
 まさに今、2人でとてもイヤらしいことをしているのだということがよく判り、頭がくらくらする。いっそう求めるように内にある愛しい恋人の分身を坂道は無意識に何度もきゅっと締め付けた。
「あー、坂道ん中、ヤバ過ぎ、ショ……」
 そして巻島は最初はそっと、ついに激しく動き出した。

 自分の嬌声と、二人の乱れた息遣いが部屋を満たす。粘膜どうしが擦れ、熱を持つのが凄く気持ちいいと坂道は感じる。
「……ボクの中……気持ちいい、です、か?」
 とろけた眼差しで坂道は恋人に秘密の感想を尋ねた。
「んなの、聞くなよ、蕩けそうで、最高ショ……」
 陶酔した表情で巻島は優しく応え、坂道に何度も深く繰り返し接吻した。
「いっぱい……感じて、欲しくて……あっ、ぁ……」
 お互い脚を預けた対面座位で抱きあう。深く入る体勢で、何度も奥まで貫き貫かれる行為が甘い歓びをもたらした。

 愛しあう2人は最期の時を迎えようとしていた。上下に繋がったお互いの腰の動きが高潮に達する。
「あ、あ……も、ダメ……」
 快楽を目一杯感じるために坂道は目を閉じていたが、強く突かれる衝撃で瞳を開けた。
恋人が自分の上と内側で一所懸命になっている姿を見て、身体の快楽と共に、より満ち足りた気持ちになる。
「いっぱい……イって……裕介さま……」
――大好きです、裕介さま。
 愛を交わす二人は同時に意識を手放した。

*****

「坂道がカワイイからこんなに……ショ」
 巻島は道具をティッシュに片付けながら側の恋人をからかった。
「……もう、やめて下さい、そういうの。裕介さま、ヘンタイなのはダメです。絶対ダメ!」
「冗談ショ。坂道カタ過ぎ」
 用事を終えたティッシュをゴミ箱に捨てた。傍目には交わす会話こそ喧嘩腰のようだが、坂道は愛しい恋人の腕の中でとても幸せな気持ちだった。
「おっぱいはこんなにやわらかいのにナァ」
 軟派な口調と一緒に坂道は巻島からむにゅっと胸を揉まれた。
「……やっぱり最悪です。裕介さまのバカ」
 坂道は巻島を羽根枕で一発ボスっと殴った。

 さすがに疲れたっショ……。と巻島はそのまま目を閉じて俯せ気味に横になっている。ハードな部活動に自主トレと勉強、それに加えて当主が不在がちな家の長男として色々気を張っているのだろうか。……と坂道は思うのでそのまま恋人の安らかな寝顔を見つめていた。
 綺麗な緑色で上品な細さを持つ彼の髪の毛を触ることが坂道は密かに好きなので、チャンスとばかりにそっと触れてみる。無意識にでも撫でられると気もちよく感じるのか、巻島は嬉しそうに口端を上げた。
「坂道ぃ……」
 髪を触っていた坂道の手に巻島の長い手が上からそっと被せられる。眼を閉じていただけで彼がまだ起きていた事に気づいて、坂道は髪の毛を梳く手を慌てて止めた。
「あっ……寝てると思っちゃって。勝手に。ごめんなさい」
「このまま触っててもいいショ。子どもン時みたいでなんか、気持ちイイんだ……」
それだけ静かに呟いて巻島は今度は本当に眠りに落ちた。

 家付きメイドの坂道に対して巻島は多少強引に事を運ぶ時もあるが、坂道が決定的に嫌がることはしてこない。彼の優しさを感じる度いつも坂道の心のなかはオレンジ色の灯りが点ったように暖かくなる。愛を交わすことはいつでも恥ずかしいけれど、魂の底で静かに燃える焔の秘密を一緒に覗きこむような行為にも思えて、決して嫌ではなかった。

「えへへ……裕介さま。好きです」
いとしい恋人の頭を撫でながら坂道は優しく呟いた。

【END】


20120214
七篠&香葉しい